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aoi |
プロフィール | 元不動産会社社員で、2社合計10年勤めていました。賃貸の分野に長くいたのでお部屋探しのコツについては詳しくご説明することができます。不動産業界ならではの仕組みなどもご紹介しちゃいます。 |
賃貸で新しいお部屋を借りようとして不動産屋を何軒か回ったら、同じ部屋を紹介された。
そんな経験をしたことはありませんか?
しかも行った不動産屋によっては「仲介手数料はいりません」などと言われてしまい、同じ部屋なのにどうしてなのか不思議です。
安くするということは何か問題のある部屋なのかと心配になってしまいますよね。
なぜどこの不動産屋でも同じ部屋が出てくるのか、なぜ同じ部屋で手数料が変わるのか。
その仕組みをご説明します。
空室情報を共有しているから
全ての部屋に当てはまるわけではありませんが、多くの賃貸の部屋の場合、その空室情報は各不動産屋で共有されています。
貸主は個人であろうと、どこかの会社であろうと、早く空室を埋めて家賃が欲しいのは同じです。
そこで普通は不動産屋に借主を探して欲しいと依頼をします。
そしてその依頼を受けた不動産屋は、貸主の依頼を成功させて信頼を掴みたいので、他の不動産屋にお客さんを紹介してもらえないかと頼みます。
これが賃貸不動産業界の仕組みです。
他の不動産屋に紹介を頼む方法はいくつかありますが、一般的には不動産屋専用のサイトにお部屋の情報を載せて募集をかけます。
あなたが行った不動産屋も、その掲載された情報を見てあなたに紹介しているので、条件を絞れば絞るほどどこに行っても同じ部屋が紹介されるのです。
仲介手数料が安いのは他から多くもらう仕組みだから
あなたからもらわない仲介手数料は、実は他のところから多くもらうあてがあります。
仲介手数料は不動産屋にとっては自社で部屋を持っていない限り、ほぼ唯一と言っていい収入源です。
不動産屋の立場は大きく分けて2種類あります。
まず1つは貸主から直接依頼を受けている不動産屋です。
この場合はお部屋の借主が決まると、貸主から仲介手数料がもらえます。
そのため、あなたからもらわなくて収入はしっかりと確保できているので問題はありません。
もう1つのパターンは自社では借主とやりとりしていないパターンです。
この場合は仲介手数料は借主からしか取ることはできませんので、これをもらえないことは死活問題です。
しかし、お部屋によっては貸主とやり取りをしている不動産会社から「広告費」などの名目で実は仲介手数料に相当するお金をもらいうけています。
なので、あなたからもらわなくても経営は成り立つという仕組みになっているのです。
仲介手数料しかサービスできることがないから
不動産屋にとって、別に収入減があるとは言っても、お客さんからも仲介手数料をもらう権利はあるので、両方から取った方が当然お得です。
ですが、自社が貸主ではない不動産屋にとって、お客さんに金額面でサービスができるものは仲介手数料しかありません。
どこに行っても同じ部屋を紹介されるのであれば、お客さんからするとどこの不動産屋で決めても変わらないことになってしまいます。
そうはさせないために不動産屋は自分たちの収入を削ってでも仲介手数料を安くする努力をしています。
中には仲介手数料以外に収入のあてがない場合でも、仲介手数料を半額にしてくれる会社もあります。
そんな会社はまさに身を削って営業努力をしているのです。
特定のお部屋をオススメとして紹介される理由
不動産屋によっては特定のお部屋をオススメとして強く勧めてくる場合がありますが、その理由は先ほどの「広告費」にあります。
つまりそのお部屋を貸すと、利益が大きいので強く勧めてくるのです。
特に仲介を専業としている不動産屋は営業さんのお給料も売り上げ次第の場合が多いです。
自分の成績を上げるためには同じ労力で利益の高い部屋を紹介するのは当然のことと言えるでしょう。
だからと言って必ずしもその部屋が本当に良い部屋だとは限りませんので、しっかりと自分で気に入った部屋を借りるようにしてください。
仲介手数料が安い不動産屋は良いお店なのか
借りる側からすると、仲介手数料が安い不動産屋はありがたい存在で、できればそこで借りたいと思うでしょう。
しかし必ずしも仲介手数料が安いお店が良い不動産屋とは限りません。
先述の通り、手数料目当てで自分たちに都合の良い部屋を優先して紹介するケースもありますし、収入が少ない分、人手不足の場合もあります。
サービスをしている分だけ高回転でお客さんを相手しなければなりませんので、決めるまでに時間がかかると判断されると後回しにされます。
酷い時には契約には立ちあわず、貸主側の不動産会社に丸投げしてしまう不動産屋もいます。
仲介手数料は大きな金額ではありますが、誠実な対応を求めるのであれば、安さだけで判断してはいけません。
決して全ての会社がそうであるわけではありませんが、不満に思うところがあれば違う会社にお願いした方がよろしいでしょう
まとめ
どこの不動産屋に行っても同じ部屋を紹介されるのであれば、何軒も不動産屋を回る必要はなくなるので探す方としてはとても楽になります。
その代わりに今度はあなたには自分に合った不動産会社を見つける必要が出てきました。
仲介手数料が安いお店を重視するか、納得対応を選ぶからはあなた次第です。
不動産業界の仕組みさえわかっていれば、お部屋を借りる際には損をすることなく、気持ち良く借りることができるでしょう。